2021年12月24日

誰も知らない日建設計

「誰も知らない日建設計」という本を奈良市立図書館から借りてきた。
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最近出版されたことを知り、自分以外の人にも読んでほしいと思ったので、自ら購入するのではなく、図書館にリクエストを出した。館蔵されていない本はリクエストを出すとほぼ購入してもらえるようなのでその方法を採った!
さてその日建設計とは、ぼくが大学を卒業した1968年から事情があって退職した2000年まで勤めていた建築設計事務所である。
大学4年になったころ、就職先にあまりあてもなく、できれば当時評判の高かった竹中工務店の設計部に行きたいなと思い大学の恩師に相談したところ、白石先生から「あなたは日建設計に行きなさい!」と、「ぼくの知らなかった日建設計」を進められてそのまま従ったのだが、お陰で幸せな人生を送ることができ、亡くなられて久しい白石先生には今でも感謝し続けている。
1968年4月に入社したのは意匠系・技術系合わせて12〜3人!そのうち意匠系は6名で、院卒の3名は東京に、学部卒の僕を含む3名は大阪に配属にされた。
さて入社した「ぼくの知らなかった日建設計」は当時世間でもあまり知られていなかったようで、電話で某メーカーにカタログを請求した時「日建設計の横川ですが!」と名乗ったところ「何石鹸?の横川さんですか!?」と聞き返されたのが忘れられない!それでいつの頃からか日建設計のことを「東京タワーやNHKホール、東京ドームなどを設計した会社」と説明するようになり、みんな分かってくれるようになった。その後更に東京スカイツリーを加えている。
その日建設計という会社はぼくにとって、「会社に貢献すること=社会に貢献すること」と思える会社だったので、在職中は夢中になって働いた。終身雇用が当たり前の時代に働き始めてから常に人生の中心にあったので、退職してからも同業他社で働くことなぞ考えたことはなく、在職中に家に持ち帰っていた設計図の縮小版や資料類もすべて退職後会社に戻した。契約関係がなくなっても「守秘義務」はそのまま守っている・・・みたいな感じである。
日建設計では幸い良い設計機会に恵まれ、今尚ほとんどが健在で、2008年にホームページをつくった際に厳選した在職中の22作品のうち、現存しないのは1975年に竣工した「鐵鋼会館」のみである。
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今から10年ほど前に土地と共に売却されて御堂筋沿いの貸しビルに移られ、2012年頃に解体されたのだが、解体される前にGoogleEarthの写真を切り取っておかなかったことが悔やまれる!この「鐵鋼会館」は竣工時に結構話題になり、「新建築」誌の表紙にもなった。
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「鉄→火→火で焼成されるレンガタイル」で構成した建築!今は無き「名建築」だと思う。
さて、
ぼくが建築設計を始めたころのお手本は、コルビュジェや丹下健三、ルイス・カーンなどどれも素材を生かした建築だったが、しばらくしてミラーガラスが出現し、造形力の無さ!?をミラーガラスで隠蔽するデザインから、隠蔽することでデザイン力を競う時代に変わっていったような気がする。村野藤吾の優れた建築が寿命を終えて〜終えていないものも・・・ガラスの箱に置き変わって行くのは悲しい・・・

「誰も知らない日建設計」という本のことを書き始めたら横道にそれてしまったが、肝心のこの本はというと、パラパラっと見たところ自分の知らないことも多々書かれていて興味深々。まあ本稿はこの本の存在の紹介に止めることにしたい。

日建設計は→https://www.nikken.co.jp/ja/
横川隆一のホームページは→https://www.yokogawa-r.com
鐵鋼会館は→http://www.yokogawa-r.com/architecture/isc/architecture-isc1_temp.html
posted by yoko at 19:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 建築
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